リグーリア最西の地、フランス国境から3km程離れたボルディゲーラにあるビオディナミ農法を実践する蔵元。2005年、セルヴァドルチェのアリス・ブランカルディ氏とビオディナミとの出会いは偶然始まった。かつて競走馬の獣医をしていたアリスは、父親の死後ブランカルディ家の家業である生花栽培とその農地を受け継ぐこととなった。生花栽培について右も左も分らないまま、ビオディナミという言葉に好奇心を抱いた彼は、ピエモンテ州ランゲでビオディナミ農法の講義を受講し、数ある講座の中でもブドウ栽培の講座に興味を抱く。当時、彼はワインに興味がないにもかかわらず、その講座の受講にサインをしてしまうが、幸運にも講師はXavier Florin氏やNicolas Joly氏等といった錚錚たる顔ぶれで、後のビオディナミ・アグロノミストであるLeonello Anello氏との出会いが彼の将来を決定づけた。彼の譲り受けた土地には代々受け継ぐピガートとヴェルエンティーノのぶどう畑が幾つかあったが、ランゲでの経験の後、彼はビオディナミを実践するワイン生産者になることを決意した。実直で飾らない性格のアリスは「経験も浅いのでワインについてはよく分らないよ」とはにかみながら呟く。